![]() |
| 2000/10/19 | 『2000・上半期の読書』 | |
|
子供の頃から浪費好きで、大人になってからも無駄遣いばかりしている。 「買わないで、ああ買っておけば良かったと後悔するくらいなら、買わなきゃよかったと後悔するほうがナンボかマシなのである」(横山宏) という薫陶よろしき(?)を得ているので、すこしでも気になった本があったら買ってしまいます。 「源泉で取られた分、取り返さなきゃなんないじゃないですか」(MUJIN首領) というわけで、最近はみんな領収書とってますが、所得のほとんどが参考資料(??)ということになるのでしょうか私。 まあ、最近は金欠なので専ら文庫本を買ってはいますが、実は出費は減っていない模様。 単行本が出版された暁には買いこむ本のリストが結構溜まりつつある今日この頃ですが。 第5位『姑獲鳥の夏』『魍魎の函(漢字が出ない)』『鉄鼠の檻』 京極 夏彦 著 講談社文庫 金が無いのになんで文庫版をまた買うかね。 それはさておき、私は京極堂こと中善寺秋彦の大ファンである。本シリーズもときたまかれの薀蓄の所だけを読み返したりしているのだが、ある意味教科書 などよりわかりやすいといえよう。新書版で読んで以来、本の厚さというのに恐怖感を抱かなくなった。このシリーズも一冊二日もあれば一気に読めるようになり、 結局番外編までまた読んでしまった。そういえば次のはいつ出るのだろうか。 第4位『甘い蜜』『カナリヤ』 山川 健一 著 幻冬社アウトロー文庫 たいしたことではないが、三部作である「愛奴の囁き」に大変影響を与えた書物。 というか、たった一行のセリフや描写であっても、「これだっ!」とキャラクターなどに多大な影響を与えるものと出会える瞬間が あるのです。まさしく「本は捜してめぐりあうもの」。 といっても、ほかにも『美姉妹M奴隷』(管野響 フランス書院文庫)だとか、『美少女ふたり・奴隷の首輪』(深山幽谷 フランス書院)とかも 読んでみて、ああなるほどという気分。『美姉妹M奴隷』はおすすめです。そのうちこういった小説についても書かなければ。 第3位『初級戦術の理解と応用』 二等陸佐 武岡淳彦 著 陸上自衛隊幹部学校 『教養資料 よい幕僚勤務について』 陸上自衛隊高射学校 なんだか最近、仕事と関係のない本ばかり読んでいる。 一体こんな本がその辺の古本屋で売られていていいものか(きっと自衛官だった方が亡くなられて家族が売り払ったのだろう)、まあ昭和37年の ものであるから、現在ではそれほど価値のあるものでもあるまい。仕入れる方も物好きだが、買うほうも買うほうである。(捨て値同然であったが) ただ素人にとっては、たいへん基本的な事が解説されているので、有事の際どのような戦い方をするのかというのがおぼろげながらわかるというしろもの。 つーか、「東海地方から関東地方に侵入した、三個師団基幹の敵は○月○日その一部を栗橋、境、目吹、取手、各利根川橋梁南側に進出させ、主力は飯能、立川、府中付近に 集中中である。この敵を撃破して関東地方を奪回すべき任務を有する1A(4個師団基幹)は主力を仙台平野に集中中である。」というようなことが平気でかいてあるので スジ者にとってこれほど面白い読み物があろうか。 想定問答集なども収録されているが、私にはチンプンカンプン。陸戦というもの、地図から地形を瞬時に読みとって部隊配備する天性の素質が必要なのではないかと思う。 それ以前に暗号というか、符号で書かれている部隊の種類や専門用語を覚えないとスラスラ読めないのは『戦史叢書』と同じである。といっても自分、『戦史叢書・ハワイ作戦』 などで「第一警戒航行序列で進撃中の第一航空艦隊」は脳裏にイメージできても、「A高地奪回のためにY方向へ進撃中の3CO」は容易にイメージできない。勉強不足か。 第2位『澁澤龍彦全集8』 澁澤龍彦 著 河出書房新社 年のせいか本の内容をぽろぽろ忘れるので、付箋をつけていた部分はノートに書き写してしまうことにした。といっても書き写すのは仕事に関係のあることで、 ネタになりそうな思想やエピソードや人物やセリフであったりする。そうでもしないとあとで「あっ!」と思ったとき、また本をひっくり返すはめになる。 本書所載の「エロティシズム」はその意味でいうとネタの宝庫であり、エロマンガを描いてわずかながらえた経験に照らしても、「そうそう。そのとおり」とか 「そうだったのか」と思うことばかり。10年前読んだときはそれほど理解できていたのかわからないことも、いま読むと実感のある内容に思われてくるから不思議なもの。 やはりいい本は再読するものなのだ。金が無い時は昔読んだものを読み返すのもまた一興。 第1位『覇者の戦塵1943 激闘東太平洋海戦1-4』 谷 甲州 著 中央公論社 いよいよ佳境に入ってきた感のあるこのシリーズ、一時期角川ノヴェルズで刊行が頓挫した時はどうなることかとおもいましたが、中央公論社で続刊、旧刊分も 中央公論社で復刻中なのでまだまだ続いて楽しめます。しかし、「1929年、現在の大慶油田をもし日本が発見入手していたら」から始まったシリーズもとうとう、1943 年まで来てしまい、思えばいろいろあったなあと実際の歴史を見るように回想して再び全巻読み返してしまいました。 そもそも、『航空宇宙軍史』のあとがきで技術者の視点から歴史小説を書いてみたいと作者が言っていたように、もしもあのときの技術をこう使えばこういう具合に兵器が発達あるいは 改修され、その兵器による戦術の変化まであったはずだ、というマニアならたまらん内容でもあるわけです。別に超兵器が出てくるわけでもなく、あくまで当時の技術の範囲内なので、 日本軍は大勝ちしないというところも気に入っているのですが。 それにしても、本シリーズでは帝国海兵隊という実際には存在しなかった組織もシミュレートされ、この組織の存在が当時の陸海軍の欠点を照射し、こうあるべきだったという方向に すこしづつ変えていっている点も見逃せません。 例えば、零式艦戦の機載無線機は雑音が多く使い物にならなかったといわれますが、帝国海兵隊では地上部隊との連携が不可欠なうえ、陸海軍から継子扱いされ優秀な搭乗員を回してもらえないため、 整備の徹底により機載無線機の実用性を高め、搭乗員の意思疎通がしやすくなっている。搭乗員が若年兵ばかりなうえ数が少ない海兵隊では、生存性を高めるため零式艦戦の燃料タンクとコクピットに 防弾版を追加し、爆装も可能に改修した「一式戦闘爆撃機」が採用されている。また、敵前上陸が前提の海兵隊では、簡単には撃破されない重戦車の開発が進められ、海軍機払い下げの旧式エンジン、巡洋艦 などから下ろされた旧式の三年式8サンチ高角砲をベースに開発された「十二試重戦車」は、後に「零式重戦車」として正式採用され、その戦車は陸軍にも「100式重戦車」として採用されていく。 さらに帝国海兵隊の、少ない戦力で多数の敵を相手にしなければならないという体質が電探を積極的に活用した「電探搭載機による洋上索敵」を確立させ、 それが「電探搭載機からの指揮による敵航空機の邀撃」という戦術(機載無線機の実用性を高めてあるのがこれの伏線)へと発展し、海軍の機動部隊同士の決戦にも使われる。「戦術の進化」というところまで シミュレートしているあたりはさすがといえるでしょう。 なににもまして特徴的なのは本シリーズには大和型戦艦(あるいはそれに類する超ド級戦艦)が登場しないということもあります。 『覇者の戦塵1935オホーツク海戦』において、日本海軍で推進されてきた艦艇どうしの砲戦におけるアウトレンジ戦法が実戦ではそれほど有効ではないことが 判明してしまったため、1号艦(大和型戦艦)は建造が取り止められ、いわゆる超甲巡B-65をベースにしたと思われる防空巡洋艦「荒島」型が就役しつつあるわけです。 今回の『覇者の戦塵1943 激闘東太平洋海戦1-4』ではミッドウエー島をめぐる攻防で、米機動部隊を撃破したものの我は空母「加賀」を失い、帝国陸海軍および海兵隊はミッドウエー島を 放棄して撤退したわけですが、作者の思案では完結まで少なくともあと十巻から十五巻は必要とのことなので、1年1話の刊行を首を長くして待っていることにしましょう。 |
||
| 2000/03/31 | 『1999・下半期の読書』 | |
|
つうわけで、上半期があったので下半期も書かなきゃなので今回はそのネタです。 もうほとんど自分の覚え書きと化している本コーナーですが、読んでくれている奇特な方もおられる様子、ありがたやありがたや。 だいたい、いつ買って読んだか自分でも良く覚えてない本が部屋にたまりつつあるので、それを思い出しつつ行ってみようと思います。 最初に断っておきますが、日常生活に有意義な本とか明るくさわやかな内容の本は読んでないのでご了承ください。 第10位『全盛期の国鉄貨車 1・2』 レイルロード 鉄道関係の本となると機関車や電車の本が主で貨車の本てのはほとんどないですが、本書は戦後から昭和40年代前半にかけて 製造された主な貨車を写真で紹介するもので、ほとんどわが国初の書物でしょう。 ひとくちに貨車といっても様々なバラエティに富むので、形式名だけ書いてあってもどんな形なのかよくわからなかったものが、この本 を見れば一目瞭然。しかも事業用貨車として操重車、雪かき車まで収録してあるのだから素晴らしい。マックレー車(掻き寄せ車)など この本で初めてディテールを見た気がします。これで、「キ‐マ・ロ‐キ」(機関車‐マックレー車・ロータリー車‐機関車)という除雪列車の 資料揃えたり・・・って、揃えてどうする。まあこの本にはそればかりではなく随所に挿入されたSLの牽く長い貨物列車や操車場の写真などもあり、 今は無き鉄道の情景としてとても感慨深いものでした。 第9位『スタミナ!』 斎藤 綾子 著 幻冬社文庫 最近、女性の書いた官能小説などを読むようになりました。 それまではえろまんがのネタとしてはフランス書院の小説などを参考にしていたのですが、いいかげん飽きてきたのです。 そんなわけで、斎藤 綾子『愛より速く』新潮社文庫などを皮切りに、河出i文庫を読んでます。なかでも一番刺激的だったのが本書『スタミナ!』、 および『愛より速く』というこのエッセイでありました。 えろをやるのに照れていてはならない、完全に開き直ってやるもんなんだという初歩的なことをつい忘れてしまうのですが、かたわらにこの本を 置いておき、原稿を描きながらおりに触れ読み返していたりします。すると、セリフがなんかかなり影響を受けてしまっているような…。 第8位『怪奇探偵小説集1』 鮎川 哲也 篇 ハルキ文庫 廣済堂文庫の異形コレクションというホラーアンソロジーを読んでいるという話を以前しましたが、自分の描くのが今のところ短編に限られるというところから、 一応いろいろな短編やらショートショートやらを読むようにはしています。 この手の短編というと江戸川乱歩の短編なんかが滅法好きです。なんというか 大正期や昭和初期のものは独特の雰囲気があって面白いのです。この『怪奇探偵小説集1』は探偵ものというよりは怪奇ものの色合いが濃くて、楽しめました。 短編を読んでいるといっても一度に何本もの小説を読んでいたりすると、年のせいか読むそばからぼろぼろ忘れていくのですが、この本の作品は今でも覚えている のが多いので、結構インパクトのある作品が揃っていたのでしょう。 人肉嗜食を描いた「悪魔の舌」(村山魁多)、「恋人を食う」(妹尾アキ夫)、をはじめ奇談、幻想などアイデアなら昔の作家も現代の作家に勝るとも劣らないのです。 一度こういう本にある、どんでん返しのあるストーリーをやってみたいものです。 第7位『決定版・日本海軍全艦艇史』KKベストセラーズ ・・・軍艦マニアここに極まれり。 その価格の高さ(69000円)ゆえ、欲しい欲しいと思いながらもなかなか買うきっかけがなかったのですが、古本屋で運良く発見、半額近い値段だったので 迷った挙句買うことに決めました。どうせいつかは買うモノ、半額程度なら望むところ、と思ったのですがこんな高い本はもう買うことはもうないかもしれません。 しかし、値段に違わぬ内容、これさえあればほかの写真集を買う必要はもうないということを考えるとこれでよかったのでしょう。 収録枚数3300余枚、明治から太平洋戦争終了までの我が艦艇が全艦種網羅されているわけですが、初公開と称される写真がこれほどあったとは。 航空母艦「飛龍」の右舷舷側からの鮮明な写真、航空母艦「信濃」の現存する唯一の写真をはじめ、改造前の駆逐艦「初春」「子日」が同時に写っている写真、 さらに太平洋戦争直前から大戦中に建造され、これまであまり写真がないと思われていた朝潮型、陽炎型、夕雲型、秋月型、松型の各艦、陽炎型にいたっては「雪風」の公試時の写真ほか 個艦それぞれの写真などが大量に収録されていて、駆逐艦好きの私などはもう狂気乱舞です。 それにもまして、艦隊集合や観艦式、訓練時の迫力ある写真などもあり、明治期、昭和期のわが第一戦隊が波頭を越えて進撃する写真など魂を揺さぶります。 我が艦艇の勇姿を後世永遠に伝える、という意気込みがひしひしと伝わってくる大著(つーかパソコンのミドルタワーケースとほぼ同大)です。 巻末に綴じこまれた「呉工廠で最終儀装中の大和」のガラス原版から印刷したどでかい写真を見ると日本は昔こんなすごい代物を造って保有していたのか、と溜息がでます。 第6位『澁澤龍彦全集3』 澁澤 龍彦 著 河出書房新社 やっと3巻まで来ました。1962〜63年澁澤龍彦WORKS、メインで収録されている「黒魔術の手帖」もさることながら、それまで未収録だったの文章の数々もまたすこぶる良いです。 「エロティシズム断章」というエッセイにある、世界でまずはじめにエポックメイキングな性概念や性行為を発明(?)した人物やその解説みたいなのを読むと不思議な気分になります。 「ともあれ、接吻しながら雌の顔(そしてその表情)を眺めていられる態位が可能なのは、脊椎動物門哺乳綱霊長目ヒト科に属する動物の雄のみであるという厳然たる解剖学的事実に、 きみは気付いたことがあるだろうか。」(本文) 第5位『異常快楽殺人』 平山 夢明 著 角川ホラー文庫 いちおうああいうマンガを描く私ですから、性的倒錯、フェティシズム、ボンデージなどの研究書をたまに読んだりしますが、去年くらいから 倒錯殺人、連続殺人、猟奇殺人などの本も読むようになってしまいました。 ほとんど興味本位だったのですが、何冊か読んでいくと犯人の異常な行動心理や性的嗜好の特異さにハマってしまい、気がつくと本棚一棚が それ系になってました。どちらかというと一人の犯人を掘り下げたものより、異常な殺人を犯した犯人の列伝のようなもののほうが好みなので この本はそういう意味でうってつけだったと言えるでしょう。 殺した犠牲者を解体、日常用品に加工して使っていた男エドワード・ゲイン、400人の子供を殺害し、その肉を食った食人鬼アルバート・フィッシュ、 『羊たちの沈黙』のハニバル・レクター博士のモデルとなった360人殺しヘンリー・リー・ルーカス、ベトナム戦争の後遺症のため、血と狂気に執りつかれた男 アーサー・シャウクロス、自宅の床下に33人の少年を殺して埋めた殺人ピエロ、ジョン・ウエイン・ゲイシー、殺した少年たちの死体で食を賄っていた美青年ジェフリー・ダーマー、 53人の少年少女を殺害、性器を食うのが至上の喜びだった男アンドレイ・チカツィロ、彼らの生活は人間以外の別の生き物ではないかと思わせるほど衝撃的です。 しかし本書に収録されている彼らは氷山の一角、別の書を紐解けばさらに様々な犯罪者が次から次へと出てきます。アメリカでは現在、連続殺人犯や異常倒錯殺人者は常時500人 潜伏しているといいますし、日本でも昨今の警察の不祥事や検挙率の低下、立て続けに発生する異常な事件を考えるといつか欧米のような状態になっていくのかも、と思わずには いられません。 第4位『スイート・リトル・ベイビー』 牧野 修 著 角川ホラー文庫 1999年はこの牧野修の本が矢継ぎ早に発行されてうれしい年でした。 『偏執の芳香・アロマパラノイド』、『リアルへヴンへようこそ』、短編集『忌まわしいはこ』、 そしてこの『スイート・リトル・ベイビー』。独特の狂気に満ちた雰囲気の作品はハマるともうぬけることができません。最新作「インキュバス言語」(『エロティシズム12幻想』所集) などは私狂喜乱舞の内容でした。 『スイート・リトル・ベイビー』は除々に狂気に支配されていく主人公の女性の描写、そしてクリ−チャ−である、赤ん坊の姿をし、人間の母性(父性)本能を 支配し寄生するまったく未知の生物、という鮮やかなアイデアがすばらしい逸品です。牧野修は着想や設定が巧みで、『リアルへヴンへようこそ』でも人類に脅威を及ぼす存在と戦って いるのがホームレスのじいさんやおばさんだったり、『偏執の芳香・アロマパラノイド』では嗅覚で人を支配するキャラクターが登場したりと、どこにでもある普段見なれている光景や 人物が、日常から異世界の窓を開けるキーとなっていたりと、毎回目からウロコの落ちる思いです。 2000年も是非とも活躍して欲しい作家さんですね。 第3位『流血の夏』 梅本 弘 著 大日本絵画 本書を読んでいて、不覚にも3度ほど目頭が熱くなりました。 1941年に始まった第二次ソビエト・フィンランド戦争、それはフィンランドという当時人口370万の小国が独立を維持できるかどうかという、すべてを賭けた戦いだったといいます。 本書『流血の夏』はそのような戦争をフィンランド軍将兵がどのように戦いぬいたかの記録です。 1944年6月、それまで小康状態だった戦線にソビエト軍による侵攻が始まったとき、両軍の戦力格差はソビエト:フィンランド、兵員5:1、戦車6.3:1、迫撃砲6.1:1、 航空戦力6:1であり、1キロあたりに集中できる大砲はソビエト400門に対してフィンランド5門という圧倒的なものだったそうです。 無条件降伏を掲げて押し寄せる ソビエト軍を撃退することなど夢でしかない、数ヶ月後にはフィンランドという国は地図から消えているだろうと誰もが考えていた戦争でしたが、 絶望的ともいえる状況のなかで、フィンランドの歩兵はソビエト軍の空爆と制圧砲撃に耐え、カサパノス(対戦車用収束手榴弾)や火炎瓶を持ってT34/85やJS-2などの敵戦車に肉薄するなど、 粘り強く、勇敢に戦う彼らの姿は涙が滲むほど感動的でした。 1944年9月、ナチスドイツとの決戦のため、フィンランドという小国にかまっていられなくなったソビエトとの講和が成立したときには、フィンランド軍の損害は21万名であったと 書かれています。ところが、軍人以外の被害者は男子1083名、女子918名。 「フィンランド軍将兵は国民を守るために、文字通り自らを盾にして敢闘したのである。」(本文) 高い税金を払って軍隊を維持するのは何の為か。 ちゃんと守ってくれる軍隊を持った国民は幸せです。 第2位『夜の果ての街』 朝松 健 著 光人社 「夜果川」。池袋の西側に広がる「池袋無国籍地帯」の中心、「雑司が谷」発「武蔵不知火」行き「私鉄西蔵線」が走る、おぞましく狂おしい血まみれの街。 まるでブレードランナーかリチャード・コールダーの小説のような街の描写にまずどっぷりハマった私ですが、作者が朝松 健とくればこれで済むはずが無いのでした。 オカルトとホラーとSFの交じり合ったガジェットの数々、主人公ほか、キャラクターの立ち方などまことにすばらしい。通勤時間の電車の中でこの本を読んでいる間は もうそのためだけに会社に行っていたに等しいですね(おい)。読み終わったあとはなんだか寂しい気分になってしまいました。 第1位『ラヴクラフト全集1〜10』 H・P ラヴクラフト著 国書刊行会 ちょっと調べたいことがあって、軽くいくつかの短編を読むつもりが結局最後の書簡篇まで読んでしまい、改めてその世界観にどっぷり漬かる幸せを噛み締める 世紀末。買って10年経つ本全集ですが、まだまだ現役です。 小説を読んだ後で書簡を読むと、自分には書きたい方向性があるにもかかわらず、雑誌の性格などによってそれを書かせてもらえない、書いても載せてもらえないなど 苦悩するさまが垣間見れて参考になりました。貧困に耐え、一日30セント、一週間2ドル10セントで暮らす際の献立なども書かれていますが、つらいというより なんだか楽しそうです。こんな生活の中からあんな作品群が生まれるというのも不思議な気がしますが、こんな生活だからこそとも言えるかもしれません。 個人的には『チャールズ・デクスター・ウォード事件』『ダンウィッチの怪』『インスマスを覆う影』『異次元の色彩』『壁のなかの鼠』なんかが好きですが、 初期の『死体蘇生者ハーバート・ウエスト』なんかも捨てがたいです。 そのうちうまくマンガの中でクトゥルーネタをうまく滑り込ませて使ってみたいと思っています。 |
||
| 2000/01/15 | 『マゾの迷宮・Nゲージ』 | |
|
私は実は鉄道マニアです。実際に乗るのも好きで意味もなく熱海や千葉まで遠乗りしたりしますが、
冬になるとインドアでするホビーとして鉄道模型などをやってます。しかし、この鉄道模型というモノは ハマるととても恐ろしいモノなのです。てなわけで今回は鉄道模型・Nゲージのお話です。 私は1970年前後の国鉄時代の車両と風景にとてつもなく魅力を感じる人間で、当然その頃の車両を買ったりするわけですが、 恐ろしい物語はまさにそこから始まるのです。一人の男がさまよう出口の無い迷宮、ドキュメントでお送りいたします。 ネタの性格上か・な・りマニアックな内容になると思われますのでご注意ください。なお、本人の浅学と妄想により、記述には勘違いや間違いなどが含まれますので資料的価値はほとんどありません。 さて、5年前のことです。私はKATOというメーカーから発売された10系客車を買い漁り、「十和田5号(1970)」「日本海(1967)」という 二つの夜行列車の編成を組もうという野望に執りつかれました。「日本海(1967)」はすべて製品で揃ったので問題はありませんでしたが、 「十和田5号(1970)」には一つ問題があったのです。そう、完成品で発売されていない車両が編成の中にいることでした。 通常、そんなモノは似たような車両で代用してしまえば済むのですが、その車両こそ「十和田5号(1970)」と称する列車には必要不可欠 な車両でした。その名は<オシ16>、夜行列車のビュッフェ型サロンカーとして設計された食堂車でわずか6両しか製造されず、1970年時 この車両を連結していたのは東京〜宇野間急行「瀬戸」と上野〜青森間急行「十和田5号」のみだったというからこれを外すわけにはまいりません。そこで<オシ16>はキットを 組むことにしたのですが、この車両、マイナー過ぎて当時資料が全然無いという状況でした。それでも説明書通りに組んで塗装し、わっはー完成だー と喜び、箱に入れてそれですませておれば良かったのです。ところが、その後鉄道雑誌で10系客車の特集があり、そこに<オシ16>の写真や解説などが 載っていた事が、再び問題を掘り起こしてしまったのでした。 この<オシ16>6両のうち<オシ16 1〜3>は標準装備で台車がTR47と呼ばれる形式、<オシ16 4〜6>は電気暖房装置をもち車番に2000をプラスした <オシ16 2004〜2006>であり、電暖搭載による自重の増加を避けるため、台車はTR23を履く。そうそこまでは私も知っていました。 ところが、ラストナンバー2006は設計が変更され、台車はTR23Dとなるなど車体に改良が加えられているという記述が。 インレタに<オシ16 2006>とあったので無意識にそれにしたのですが、こうなると2005にしとくべきでしたなー、とちょっぴり後悔したのも つかの間、悪魔が私に囁いたのです。 そう、こんな時のためにもう一両オシ16のキットを買ってあったじゃあないか、と。(←阿呆) そしてもう一両の<オシ16 2005>が完成しました。東海道を走る「瀬戸」に0番台の1〜3が使用されていたとすれば東北方面を走る「十和田5号」に 2004〜2006が使用されていたのはほぼ間違いがありません。よし。これでいいのだ。完璧だッ、と思ったのもつかの間、別の疑念が湧き起こってしまったのでした。 いったい<オシ16 2005>はどこの客車区に配置されていたのか? そして編成を組む他の車両は同じ客車区所属でないとおかしいのではないか? そうこれが恐るべき第二の迷宮なのでした。 調べてみると、<オシ16 2004〜2006>は全車尾久客車区に配置されていたことがすぐにわかりました。すると「十和田5号」の車両の受け持ちはおそらく尾久客車区。 では、同列車のA寝台車<オロネ10>、B寝台車<スハネ16>も尾久客車区所属車両のはず。しかし、製品の<オロネ10><スハネ16>の車番はどうなっておるのだろう? これも調べてみると、製品の<オロネ10 2048><スハネ16 2112>はどちらも大阪は宮原客車区所属であったことが判明、ここまで知ってしまった以上製品の車番をインレタ で変更するしかありません。もはや強迫観念です。しかしそれ以上、グリーン車、座席車に至っては製造両数も多く資料もなくあきらめるしかありませんでした。 ここまでやればもういいだろう、迷宮の出口が見えた、終わったのだ、と思いました。だが現実はそう甘くはありません。 「十和田5号(1970)」はいいとして「日本海(1967)」は?「日本海(1967)」はどうなのだ??一度浮かび上がった疑念は消えることなく、またも迷宮の門を くぐる私でした。果たして疑念は的中、「日本海(1967)」に連結されていた郵便車<オユ10>は製品の<オユ10 2575>とは別物だったのです。嗚呼。 <オユ10 2575>は<オユ10 2551〜2583>のグループに所属する車両で屋根上にクーラーを装備、車番の+2000は電気暖房装備、さらに+500は北海道走行用耐寒耐雪仕様 で製造は1973年から、ということは「日本海(1967)」に連結されていたはずはありません。 幸いなことにクーラーを装備して冷房化改造される以前の形態のキットは 発売されていたのでそれを組めばいいというのはわかったのですが、郵便車<オユ10>は 数次にわたる設計変更が行われ一〜五次車まである模様、さらにその後の改造によって 複雑に改番されたりもしていたのです。 こうなったら消去法で車番を絞り込むしかありません。冷房化改造される以前の形態で電気暖房装備、そして大阪宮原客車区所属の車両をつきとめるのです。 キットのディテールを実車の写真と比べてみると、一次車、二次車の特徴である車体側面ルーバーがモールドされていますのでストレートに組むと1〜10になります。 <オユ10 1〜10>は電気暖房搭載工事を1961〜1964にかけて行い、<オユ10 2001〜2010>となったらしいので目的の1967時にこのうちから宮原客車区所属の車番をつければ 良いことになります。もちろん側面ルーバーを埋めてしまいそれ以降の三次車(昭和36年度車2011〜2015)にすることもできるわけです。四次車(昭和37〜39年度車2016〜2034) は側出入り口の下降窓にバランサを設け、台車をTR200Aとしたという不吉な記述があるのでパス、五次車は昭和42年以降製造の2035〜2058であるので「日本海(1967)」には 連結されていた可能性がないといえます。この中で新製配置が大阪宮原客車区所属の車両は7(2007)〜2016が該当するのですが、新製は1959〜1962で1967当時宮原客車区にいたのかどうかは よくわかりません。しかたがないので、新製配置、改造時配置が一致する車両がずっとそこに配置されていたと考え、<オユ10 2011>とすることにしキットは無事(?)<オユ10 2011>として 完成したのでした。 この間、実に5年の歳月(空白期間含む)が流れていました。 今私のNゲージ生活には上記以外にも、気動車急行「丹後(1992)」問題や夜行列車「利尻(1967)」問題をはじめ、機関車C62 42、C60 7(東北型)、D51半流(東北型)問題、C11(会津)問題、 荷物車マニ35、マニ37問題などが山積みで、手持ちの車両をなんとかしているうちに、新製品が続々と発売され、次々に売切れになっていくのです。なんということでしょう。 それに指をくわえながら、小学校の時に買った機関車にパーツをつけたりしている今日この頃です。 あ、でもマイクロエースの蒸気機関車9600、北海道重装備79618(二つ目)は欲しい、欲しいなあ・・・。 |
||
|
|
|
|
|
|
|